ー診療所から病院の先生へー
「勤務医と開業医のつながりの輪」
かみむら耳鼻咽喉科 院長 上村 弘行
![FireShot Capture 002 - かみむら耳鼻咽喉科 - 福岡県大牟田市 - [www.kamimura-ent.jp].png](/var/rev0/0057/2210/12599133258.png)
大牟田市で開業医をしておりますかみむら耳鼻咽喉科院長上村弘行と申します。私は久留米大学耳鼻咽喉科頭頚部外科学講座に所属しておりましたが、令和元年に大牟田市で開業し7年目になります。父は健在で仲良く2診体制で診療を行っております。
病院の先生方に伝えたいことを書いてくださいとの依頼をうけ、こうして文をしたためさせていただきました。私の勤務医時代は悪く言うと前時代的で、いつも病院にいるような生活をしておりました。「お前が休まないと後輩も休むことができないだろ」なんて怒られたこともあります。病院の先生方の話をきくと、この数年で急速に働き方改革が進んだなと感じます。働き方改革については、勤務時間が制限されてしまうために高度な知識や技術を獲得しようとする若い先生方の妨げになっていないか、心配しております。しかし今思い返してみると、若い頃の私は体を酷使しながら勤務医の仕事をしていたようにも感じます。今病院勤務をされている皆様も、患者さんの心身を細かく確認し多忙を極められていると思いますので、働き方改革の波にはそのまま押されていいと思っております。
いうまでもなく医療は急速に進歩しています。この10年大学病院を離れただけで、頭頸部癌の治療方針は私が知っているものから変化してます。開業して一番変わったのは、最先端の治療に触れることがなくなってしまったことです。学会に行けば知識は得られますが、現場で経験を得ることができないため、開業医の自分は最先端においていかれているのがよくわかります。開業医で避けて通れないのが経営と労務の問題で、これに大多数の時間をとられるので、なかなか時間を作ることができません。病院勤務の皆様におかれましては「開業医はこんなことも知らないのか」と思わず色々教えていただきたいと思います。患者さんのためにも、可能な限り知識のアップデートを行うよう努力します。
最近の医療業界はお金の話ばかりですが、私たち医師は医師法に沿って日々の診療を行わなければなりません。医師法第一章第一条、つまり医師法の一番最初の文に「医師は、医療及び保健指導を掌ることによって公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする」と記載されております。診療所も病院も、国民の健康な生活を確保する義務があります。診療所と病院がチームを組み、時代に合わせた働き方で、知識もアップデートしつつ国民の健康な生活を確保する医療を提供できればと思います。