ドクター&ナースのつぶやき

令和8年5月号


地域との関わり~「北九州市若松区において」

                                     医療法人 吉澤医院 院長 
                                      北九州市若松医師会専務理事
                                               吉澤直之  

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 若松医師会の吉澤直之です。テーマは地域との関わりということですが、まずは簡単に自己紹介をさせていただきます。福岡大学筑紫病院消化器科に入局し、消化器内科・一般内科として13年間勤務した後、実家のある北九州市若松区に戻り、現在は父とともに内科クリニックを約13年続けております。

 クリニックは若松の中心部に近い、どこか下町の雰囲気が残る地域にあります。診察室では、診療の合間に病気の相談だけでなく、日常のちょっとした困りごとを聞くことも多く、時には回転焼きやタケノコといった手土産をいただくこともあります。また学校医や死体検案、地域行事への参加など、人と人とのつながりを日々感じながら診療にあたっています。こうした関わりも、広い意味での地域医療の一部なのだと感じています。

 今回は、若松区で長年続いている「若松地域ケア研究会」についてご紹介いたします。本研究会は20年以上の歴史があり、毎月1回開催されています。医師・看護師・歯科医師・薬剤師・ケアマネジャーといった医療・介護職に加え、民生委員や福祉協力員、行政職員など、多職種・多分野の方々が参加されます。参加人数はテーマによって異なりますが、40~100名ほどと多くの方が来られます。私が担当になって2年ほどですが、医療従事者に限らないため、専門的な病態の話に偏らず、地域住民の視点に立ったテーマ設定を心がけています。

 これまでに、ACP、高齢者救急、死体検案、高齢者施設の違い、そして高齢者虐待などを取り上げてきました。特に施設をテーマにした回では、複数施設の管理者やケアマネジャー(全8施設)に参加いただき、入居費用や対象となる介護度などを含めたそれぞれの特徴や違いを分かりやすく説明していただきました。また高齢者虐待の回では、医療・行政・法律の各立場から講師を招き、具体的な症例も交えながら理解を深め、大変好評でした。

 本研究会は、いわば地域のボランティア的な側面もあり、講師への謝礼は交通費程度に限られます。しかし終了後には、多職種での懇親の場を設け、立場を越えて率直な意見交換が行われます。(まあ、飲み会ですが、講師の先生方を含め15人前後で、色々な業種の方々が参加され、以前には区長が来られたこともあります。あそこが良かった。僕はこう思うなど色々ざっくばらんに楽しく語り合う、若松スタイルです。)
 こうした「顔の見える関係」を20年以上積み重ねてきたことが、若松という地域のまとまりや連携の良さにつながっているのではないかと感じています。今後も地域に根ざした活動を大切にしていきたいと思います。


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