ドクター&ナースのつぶやき

 

令和3年1月号

コロナ禍における訪問看護ステーションの取組について

                            (一社)在宅看護センター北九州
                      代表理事 坂下 聡美

 ごあいさつ
 新年を迎え、新たな希望を抱き、目指すべき思いを抱いております。地域社会でしっかりとした役割を担うことが、今まで以上に必要な時期に差し掛かりました。
 一般社団法人 在宅看護センター北九州 (代表理事 坂下 聡美)ございます。
北九州市(八幡西区・若松区)や遠賀郡などで、訪問看護・リハビリステーションを運営し、地域社会に根差した活動を「日本財団在宅看護センター」として展開しております。
 「コロナ禍に始まりコロナ禍に終わる」 昨年はこのような感じでございました。訪問看護にとっても、未経験ゆえの手探り感が否めない、とても厳しい年でした。
 このような状況下、国の支援や地方自治体の助成などは大変助かりました。また、地域の皆さまにも励ましのお言葉をたくさん頂きました。
 今回のご寄稿にあたり、私どもが、コロナ禍で行ってきた取り組みをご紹介し、地域社会に根差した訪問看護の新たな可能性についても考えてみたいと思います。
 皆さまと共に、一丸となって「コロナ禍」という難局を克服する一助になれば幸いでございます。今後とも、どうぞ宜しくお願い致します。

1.コロナ禍の「地域在看ネットワーク」について

 私どもは(公財)笹川保健財団の助成を受け、昨年も「地域在看ネットワーク会議」を開催いたしました。テーマは「公衆衛生(コロナ感染症対策)と在宅看護」です。
 基調講演には、北九州市保健福祉局医務監(産業医科大学名誉教授 感染症対策研究センター長)松本 哲朗 先生をお招きし、「コロナと感染対策-北九州での取り組み-」というお題目でご講演をいただきました。また、北九州市の代表的な企業である「シャボン玉石けん」様とも企画コラボして、感染症対策について議論を深めました。
 この会議はZOOM(遠隔)を通じて、(公財)笹川保健財団とも連携し、「日本財団在宅看護ネットワーク」や「YouTube」を通じて全国発信されました。
 地域の皆さま、企業、行政、医療機関などが一丸となって地域在看ネットワークを構築し、様々な立場からコロナ対策について理解を深めることはとても有意義なことでした。
 コロナ禍ゆえに利用せざるを得なかった新しい情報技術も、結果として大きな収穫となりました。新しいネットワークづくりを目指すためにも、このような情報技術も積極的に利用していきたいと思います。

2.コロナ禍における「遠隔連携」について

 コロナ禍においては、在宅医の往診も難しい状況が続くと予想されます。これからますます必要となる「遠隔診療と訪問看護との連携」(遠隔連携)について、複数の医療機関と検証致しました。
遠隔連携では、様々な在宅医の指示に基づく適切な処置やフィードバックの徹底に重点を置くことが大切です。
 遠隔診療の欠点は、直接、在宅医が触診するような診療行為等が出来ないことです。在宅医との意思疎通が十分できるようなスキルアップ、訪問看護師の深い洞察力や判断力も求められます。
当センターにおいても、所属する訪問看護師の対処力にバラつきがあるため、看護スキルの向上や効果的な研修方法についても検討しております。
 このような組織的な遠隔連携は、大規模災害や緊急事態に大きな力を発揮します。一刻を争う状況下での迅速かつ適切な遠隔連携の必要性も感じます。
 その一方で、大規模な感染拡大や異常事態が多発した場合には、看護スタッフの対処能力にも限界があり、社会全体としての対処方法やサポートなども課題となると思います。

 

   (一社)在宅看護センター北九州
           代表理事 坂下 聡美
 
    電話 093-742-6006
    FAX 093-742-6036
    携帯 080-3909-8316
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