第3回心のふれあい大賞作品集
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入賞作品「希望をくれた 交換日記」 六月のある日、看護学生の娘から『こんなことを学んでいるよ。』と講義資料のコミック『コウノドリ』七巻の一部コピーを渡されました。実際にNICUの医療現場を経験された教授の講義で使用されたもので、娘の誕生当時一般の部 優秀賞久留米市古賀 多美子と瓜二つの内容でした。二十九週で予想もしなかったリスクを抱えての出産の、両親の葛藤や医療現場の現実を描いた内容に、二十年前のあの頃を重ね合わせていました。二十歳になって看護学生として学んでいる娘から、誕生当時に自分に充てられた九つの病名の病状説明をしてくれる姿に『しっかり学んでいるなあ。』と嬉しくなりました。実際に、その当時の私は、何も理解できず、生死の狭間で必死に生きようとしている我が子の無事を祈り続けることしかできない状態でした。久々に母子手帳や当時のたくさんの手紙、そして五カ月半に及んだ集中治療室での入院生活を支えていただいた看護師さん、保母さんとの交換日記を取り出して振り返った途端、すぐにあの頃に戻っていました。本当に懸命に命と向き合う日々でした。必死に生きようとしている娘と家族全員で戦い続けた時間でした。 二十九週と二日、体重740g、妊娠中毒症、子宮内胎児発育遅延にて帝王切開。平成七年十月二十六日十六時二十分誕生。そして娘には九つもの病名が付けられました。超低出生体重児等々、当時この羅列された文字の意味を何一つ理解できない状態で自分を責め続け現実を受け入れられない状態で、ただただ『生きてくれ。』と祈るしかなく、ずっと悪夢を見続けている毎日でした。NICUで懸命に命を繋いでいる娘に、搾乳した冷凍母乳を届ける日々、授乳量が1cc増えては喜び体重が減少しては落ち込み、何度も呼吸停止を繰り返し、発熱に抗生剤が効かず、全血交換治療でやっと命を繋ぎ止めている状態の娘でしたが、泣き声だけは、元気いっぱいで生きているよと自分の存在を伝えているようでした。そんな日々に、一人の保母さんから、メモで娘の様子を知らせていただきました。返事をメモに書き、そんな交流が次第にノートのやりとりになり、そして、私達家族を支えてくれる交換日8

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