第3回心のふれあい大賞作品集
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入賞作品「「命」がつくる、 人の輪」 僕の姉は、重度の障がい者だ。寝たきりの状態で、自分で呼吸もできず呼吸器をつけている。母は、そんな姉の介護をしている。 姉が生まれたのは、今から二十八年前だ。そして、重い障がいがあると診中高生の部 優秀賞福岡市・高校1年太田 慎吾断されたのは生後十か月の頃である。母はとてもショックを受けたらしい。この子は施設に預けることになるのだろうか、と様々な不安がよぎったそうだ。しかし、「今は、どんなに重い障がいの子も、おうちで暮らすのが当たり前になりつつある。病院だけでなく家に居ながらも医療の助けを受けられるんだよ。」という、当時のドクターの言葉を聞き、母は在宅ケアの道を選んだ。 姉が生まれて今日まで二十八年間、こんなにも長生きできたのは多くの人のおかげだ、と母は言う。在宅ケアをすると決めた母のために、介護の仕方をおしえてくれたドクターや看護師さん、毎週のように家に訪問してくれたまた別のドクター、そして現在もお世話になっている訪問看護師さんやホームヘルパーさん、リハビリの方など、姉を中心として我が家はたくさんの人たちに支えられてきた。 それは、介護・福祉だけではない。障がい者の親同士が集まってコミュニティが生まれ互いに支えあっている。 母は僕にこう言った。「あんたのお姉ちゃんを支えてくれた人たちは、病気をみているんじゃない。人を、家族を、生活をみてくれてるんだよ。お姉ちゃんを中心に家族がどう幸せに生きていくかをみてくれているんよ。」 この言葉を聞いて、僕はハッとした。今まで関わってきた全ての人は、姉のためだけではなく、自分を含めた家族のために働いてくれていたのだ。「当たり前だけど、あたりまえじゃない。」 これは障がい者の生きる権利は当たり前にあるけれど、それを支えてくれる人々の存在は当たり前ではない、という意味の言葉だ。我々障がい者の家族は、支えてくれる人に感謝の気持ちを忘れてはならないのだ。12

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