第2回作文コンクール入賞作品集
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⃝中高生の部 最優秀賞 ― 「感謝」ひどい吐き気に襲われ、空の胃袋の状態で何度も吐いた。病室の中でも、吐き気止めを体に直接入れてもらうがそれでも治まらず、ベッドの上でのたうち回った。しかし、そのようなときにはいつも、私の隣には医師の先生がいてくださり、「大丈夫だよ」と優しい声で私を励ましてくれた。 そして、約1カ月の入院生活が過ぎ、退院の日となった。その1カ月は楽しいことばかりではなかったが、その分、自分の成長を感じることもできた1カ月だった。そして何より、入院という経験を通して自分の将来の夢がはっきりと決まった。「医師になりたい」 自然とそう思うようになっていた。私は入院するまで、医師の方と接する機会がほとんどなく、何となくのイメージで医者を嫌っていた。しかし、入院をして感じたのは、医師の先生たちの、病気を治したいという熱い気持ちだった。そして同時に、自分も同じように将来、苦しむ患者さんを助けたいと思った。私は新しい夢を抱いて退院をした。 最近、ニュースや本で、医療関係の問題をよく目にする。患者の取り違えや投薬の間違い。これらのような問題があると、患者はどうしても医師への信頼をなくしてしまう。自分の体験も踏まえて思うことは、信頼を得るには、いかにミスをなくし、身を粉にできるかだと思う。私の尊敬する医師の一人、天野篤医師の著書「熱く生きる」の中に、このようなことが書かれていた。「『患者さんの命を救うためなら、自分の命を踏み台とすることも辞さない』。極端と思われるかもしれないが、この犠牲的な精神が医師には絶対必要だ。自己犠牲の精神がないと、医師として信用されることはない」 自分がもし医師になることができたとして、果たして私は患者の方からの信頼を得ることはできるだろうか。今の自分には、まずできない。医師になりたいとは思っていても、天野先生が言うような覚悟が、自分にはまだ備わっていないからだ。医師になるからには、患者の方から信頼を得られるような医師になりたい。そのためにまず、今の自分の行動を考えて、信頼を得られるような覚悟を付けていこうと思う。11

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