第2回作文コンクール入賞作品集
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入賞作品「感謝」「眼窩(がんか)に腫瘍があります。手術をしないといけません」 そう言われた。突然手術という単語が発せられ、頭での理解が遅れた。そもそもガンカとは何だ。何も理解できていないまま、私は入院が決まってしまった。中高生の部 最優秀賞福岡市・高校2年清水 駿(17歳) 私は医者が嫌いだった。こちらのことは何も考えず、ただ診断結果から治療を施すだけ。そんな人たちだと思っていた。 病名は「右眼窩内腫瘍」。目を包む眼窩というスペースに、目玉と同じ大きさほどの腫瘍ができていた。入院中は、訳も分からず言われた通りの場所に行き、言われた通りに病院を回り、検査をする。検査入院の期間は、2週間続いた。 その2週間では貴重な体験が多くあった。映像でしか見たこともないような機械ばかりの部屋。足が動かなくなった方との会話。友達や家族の見舞い…。数え出せば切りがないが、どれもかけがえのない経験だった。 そして、その2週間で私の医者に対するイメージも変わっていった。私に変わったことが少しでもあると、すぐに様子を見に来て、「大丈夫?」「きつくない?」と、言葉を掛けてくださった。時には雑談もしたりして、そうするといつの間にか私は、その先生に対して、医師という存在に対して、信頼感を抱くようになっていた。 2週間の検査入院を終えて、私はとうとう手術の日を迎えた。ここまで、あっという間だった。手術台の上に乗ると先生が「安心してください」といつものように優しい声で言ってくれた。私はもう、その言葉を信じるしかなかった。 麻酔を入れられると体がしびれ始めた。そして、一瞬だけまばたきをするといつの間にか、7時間の手術が終わっていた。執刀医の先生が腫れ上がった私の目を見詰めながら、「成功しましたよ」と言ってくれた。そのとき私は、「ありがとうございます、ありがとうございます」と、何度も感謝の気持ちを伝えていた。 手術が終わったからといって後は楽、というわけではなかった。手術直後、10

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