第1回作文コンクール優秀作品集
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入賞作品『おいしやさん』 への手紙 年末の大掃除をしている時、私はある封筒を見つけた。ピンク色の封筒で、可愛いシールが貼ってある。差出人の所には幼い字で『かわばたきみか』と書いてあり、受取人の所には『おいしやさん』と書いてあった。何だろう、中高生の部 優秀賞北九州市・中学2年川端 君佳(13歳)と私は封を開いた。手紙は、どうやら『お医者さん』に宛てたものの書き損じのようだった。その手紙を読んだ時、昔の記憶がよみがえった。その手紙を出したのは、小学一年生の頃だった。 まだ幼稚園を卒業して間もない頃の私は、よく母に「もうすぐ小学生なんだから」と叱られていた。母に叱られると、私はすぐにお姉ちゃんの所へ逃げた。お姉ちゃんとは、母の姉のことだ。本当は伯母さんと呼んだ方が正しいが、母の呼び方がうつって『お姉ちゃん』と呼んでいる。私が慰めてもらいに行くと、お姉ちゃんは必ず黙って頭を撫でてくれた。お姉ちゃんの手は、柔らかくて温かい。そんなお姉ちゃんが、私は大好きだった。よく一緒にぬり絵をしたり、平仮名を練習したり、折り紙を折ったりして遊んでくれた。 私は小学一年生になった。もうすぐ七夕で短冊に書く願い事を決めるという宿題が出された。私はお姉ちゃんに相談しようと思って家に帰ると、すぐにお泊まりの準備をした。おばあちゃんの家に着くと、真っ先にお姉ちゃんの部屋に向かった。お姉ちゃんの部屋には、誰もいなかった。台所にも洗面所にも、トイレにもお姉ちゃんはいなかった。「なんで、お姉ちゃんがいないの?」 私は何度も母に聞いた。母は迷ったようだが話してくれた。お姉ちゃんには、『知的障害』があった。幼い頃から、特別支援学級に通っていたそうだ。それに加えて体が弱く、私が生まれる前はよく入院していたらしい。日常生活に支障はないらしいが、それのせいで差別を受けたことも少なくないという。一緒に平仮名を練習してくれていたのも、字を忘れないためだったと後から聞いた。「お姉ちゃんのこと、嫌いになってない?」 と母に聞かれて、私は泣いた。どん12

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