第1回作文コンクール優秀作品集
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⃝中高生の部 最優秀賞 ― 「独りじゃないよ」見こわそうな男の人、様々な人がいた。私は緊張して、ただただ、「私はどうなるのだろう。」なんてことを考えていた。「小野さん」 名前を呼ばれて思わず大きな声で返事をした。赤くなりながら診察室へ入った。「こんにちは。お名前は?」そう聞かれてまだ緊張したまま「オノアイリです。」と答えた。さて、どんな質問をされて、どんなことをいわれるんだろう……と不安をつのらせていると、「ヘー! すごい良い名前だね‼ 愛が来る、いいね‼」……? ちょっと拍子ぬけだった。あまりに先生がゆるいから。「で、何才? 部活は?」淡々と質問に答えていく。途中、雑談、笑い話も交えながら。そうするうちに、緊張なんて吹き飛んでいった。そして本題。「どんなことがストレスなの?」とか「何かつらいことでもあった?」などは聞かれなかったが、先ほどの質問から先生は何かを察したらしく話しだした。「愛来ちゃんは、一人でがんばりすぎちゃうタイプでしょ。甘え下手なのかな。先生、まだ愛来ちゃんと出会って数分だけど、愛来ちゃんのそういう一生懸命さとか伝わってきたし、すごくいい子だなって思うよ。でもね、苦しみや痛みとたたかうのは一人かもしれないけど、独りではないんだよ。もっと頼っていいんだよ。」気づいたら目からは涙があふれていた。たったこれだけの言葉で、とても楽になった気がした。「独りじゃない」この言葉にどれだけ救われたことか。「ありがとうございました。」何度もそう言って先生と別れた。 次の日、何カ月ぶりだろうか、お腹が痛くならなかった。私は再度、「ありがとうございます。」と心の中でお礼をした。 今、私が前のように健康でいられるのは先生のおかげだと言っても過言ではないと思う。あの日以来、先生とは会っていないけれど、つらくなったり、不安になったりした時は「独りじゃない。」という先生の言葉を思い出している。 ありがとう、先生。11

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