第1回作文コンクール優秀作品集
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入賞作品「独りじゃないよ」「お腹イタイ……」秋も深まる十月のある日から、私の口ぐせは「お腹イタイ」だった。はじめは、とりあえず市販の薬をのんでなんとか過ごしていた。だが、年をこえて四月、私は授業さえまともにうけられなくなっていた。原因は昨年から続く「腹痛」。ここで、中高生の部 最優秀賞北九州市・中学3年小野 愛来(14歳)私は初めて病院にいった。先生によると、別に体に異状があるわけではないそうだ。じゃあ、なぜ……?「あなたの腹痛はストレスによるものです。だから心配する必要はないでしょう。」そう言われた。たしかに、生徒会の仕事と部活動、そして勉強の両立で疲れもたまっていたのかもしれない……と思い、しばらくは無理をしないようにして過ごした。 しかし、症状は良くなるどころか悪くなる一方、三年間の中ではじめて早退し、次の日学校を休んだ。 とうとう市販の薬も効かなくなり、病院で処方してもらった薬を毎日、錠剤を九錠、粉薬を三袋のんだ。でも効果はみられない。「もういやだ、なんで治らないの」と毎日悩んだ。でも「そんなの気のせいよ……精神力よわいなぁ……」と心ないことを言ってくる人もいた。もう限界だった。おなかが痛くなることで部活の仲間にも、生徒会のみんなにも親にもたくさんの迷惑をかけてしまう自分自身にも腹がたった。いつの間にか弱音も吐けなくなっていた。 そんな時、私に手をさしのべてくれたのは、ある一人の先生だ。ある日、私は再び行きつけの病院にいった。症状が治らない、もう限界だと伝えると、その先生は近くの心療内科をすすめてきた。最初は行くのをためらった。私の中で心療内科は、精神的に病んだ人が行くような所だと思いこんでいたから。でも、もうそんなこと言っていられなかった。 そして迎えた診察の日。親には迷惑をかけたくないので一人で出かけた。ドキドキしながらドアの前に立つ。一度、深く深呼吸をしてドアをあけた。受けつけに向かう。あと十分待ち時間があったので、待ち合い室のいすに座ってまわりを見回した。若い女の人から車いすに座った人、年輩の方、一10

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