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vol.56 勤務医のつどい⑴勤務医のつどい勤務医のつどい勤務医のつどい発行日 平成28年12月10日福岡市博多区博多駅南2丁目9番30号公益社団法人 福岡県医師会 勤務医部会ともに語ろう、ともに考えよう、ともに行動しよう勤務医からみた 災害時医療支援-熊本地震を経験して-災害拠点病院在籍時に取得した統括 DMAT(Disaster Medical Assistance Team)の役割の1つとして、県の災害対2011年3月の東日本大震災では当院にはまだDMATが存在しなかったため、今回の熊本地震がDMATとして実際の災害現場への初出動であった。更に、DMATとしてSCU(Staging care unit)の立ち上げや、JMATとしても震災支援に参加したので、それらの活動で感じたことを述べたい。最初の出動は、今回の一連の地震の中でいわゆる「前震」と呼ばれている4月14日の地震の直後であった。DMATとしての活動は、市内の病院の被災状況を電話で確認する事と、倒壊の恐れがある病院から他病院への患者移送であった。今振り返れば、強い余震が起こるかもしれない状況の中で、深く考えずに患者搬送のために倒壊しかけた病院に入ったことは、後に本震が発生したことを考えるとゾッとする思いである。ほぼ徹夜での移動後であり、集中力が低下していたことも要因ではあるが、災害医療における重要な「CSCATTT」の「S (safety)」にある自分(self)の安全を明らかに疎かにしていた。倒壊しかけた病院で患者移送の最中に「本震」に遭遇した知り合いのDMAT隊員から、「死を覚悟した」という感想を聞き、今回のDMATの活動の中で最も忘れてはいけない教訓は、「安全」の重要性に対する再認識ではないかと強く感じた。2つ目の活動は、4月16日の本震により被災状況が拡大し、広域搬送受け入れの可能性が出てきたため立ち上げられた福岡空港SCUにおける活動であった。4月16日から2日間に渡り福岡空港SCUにて患者受け入れの準備に携わったが、結果的にはSCUには1人も患者が搬送されなかった。急に広域搬送が決定し集合するというのは難しいので、準備をしておくということは大事であるが、広域搬送をしなければいけない患者の情報や可能性はどのように把握されていたのだろうかと感じた。多数のDMAT隊が2日間に渡ってSCUに集まっており、もう少し効率良く備えるために、より正確に現地の患者情報を収集するシステムを構築する必要があるのではと感じた。ただ、個人的にはSCUの準備がどのようなものかを経験することができ、非常に有意義であった。最後にJMATとして4月19日から2日間、主に避難所の状況および傷病者を確認する作業に従事した。この活動で一番強く印象に残ったことは、被災地の行政に関わる職員さん達の膨大な仕事量と疲弊である。出動時、私達のJMATとしての活動内容は、現地の職員に指示を受けるようにとの事であったが、担当である区役所の職員は、どこの隊がいつくるのか把握できていない状況であった。流動的とは言え避難所の状況もほとんど把握されておらず、しかし、それ以外の膨大な仕事量を考えるとやむを得ないと感じた。私達を担当してくれた職員(保健師)さんが、睡眠時間を削り懸命に働かれている姿を見ると、もう少しJMATの派遣を管理する組織が、現地の医療状況や必要な支援に関する情報を集めて割り振るなど、被災地の行政スタッフの負担が軽減できるようなシステムを作る必要性を強く感じた。最後に今回の活動を通して感じたことは、定期的に行われているDMAT実動訓練が、実際の活動に活きていることである。ただ、訓練では知ることの出来ない様々なことを、今回の実際の活動で知ることができたので、今後の訓練でもこれらの教訓を意識しながら活動し、今後起こると予測されている大規模な災害(南海トラフ地震等)が発生したときに、しっかり活かしたいと思う。県庁における災害時医療支援 地方独立行政法人福岡市立病院機構 福岡市民病院 救急科 科長野田 英一郎策本部支援やDMAT調整本部立ち上げがあり、16日深夜の本震発生時から本格的に県庁医療指導課や日本DMAT事務局や県内外の統括DMATと連絡を取った。16日朝当直明けのまま県庁に入り、医療指導課内にDMAT調整本部を立ち上げた。余震直後にDMATとして現地入りし、15日に帰ってきたばかりだった災害基幹病院である、国立病院機構九州医療センター救急部の高松学文先生を本部長とし、私が副本部長として補佐をした。また私と同様にDMAT指定医療機関を退職したDMAT初めての災害活動〜熊本地震支援にDMAT・JMATとして参加して〜 産業医科大学病院 救急科大坪 広樹

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