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勤務医のつどい ⑶ともに語ろう、ともに考えよう、ともに行動しよう産業医科大学第一外科教室は、産業医科大学の開学とともに、昭和53年4月大里敬一教授の元に開講されました。その後、平成6年に伊藤英明教授、平成20年に山口幸二教授が引き継がれ、平成27年5月より本校の卒業生である平田敬治教授が就任されました。当教室は、消化器・内分泌外科を専門領域とする日本外科学会認定教育施設であり外科専門医11名、指導医4名で運営しております。臨床では、消化器・内分泌外科を中心に疾患を大きく4つの領域 (下部消化管・上部消化管・肝胆膵・乳腺内分泌)に分け、各領域に専門スタッフをおき、がんを中心に診療を行っています。周術期の管理はもちろん診断・治療・化学療法も行っており、常に教室の伝統である患者さん中心の医療に心がけています。また、他科 (消化器内科・胸部外科・婦人科・泌尿器科・頭頚部外科等)と密接な協力体制をとり総合的な医療を行っています。外科手術では、早くから鏡視下手術を導入し、傷が小さく術後の疼痛が少ない低侵襲手術を積極的に行っています。特に臍の創一カ所で行う単孔式手術では全国でも有数の症例数を誇っております。一方、血管合併切除を伴う拡大切除も行っており、縮小手術・拡大手術の両輪で外科手術を進めております。外来は新患・再来とも月曜日・水曜日・金曜日に診療しており、それぞれの専門グループが外来を受け持ちます。外科専門医・指導医およびがんや人工肛門の資格を持つ専門看護師・管理栄養士・がん専門薬剤師・検査技師などスタッフが協力しあって、チーム医療の体制が出来ております。教育では、学生・初期研修医・後期研修医の教育を担当し、講義よりも実習を中心とした教育に移行しており、授業内容に結紮・縫合・吻合などの手術手技の実習や腹腔鏡下手術の模擬体験などを積極的に取り入れています。卒後教育では臨床修練と同時に、専門医取得を目標に手術症例を確保できる関連病院も増やしております。また、年に一度北九州の中高生を対象に手術の模擬練習が出来るキッズセミナー (名称:ブラックジャックセミナー)を夏休みの終わりに行っており (今年で8回目)、地域の子供達が早い時期に医療へ関心を持つ事で、将来優秀な人材が医療界で活躍できるよう努めております。研究では、発ガン、浸潤転移、予後因子などの臨床病理学的研究を基礎研究室 (第1病理教室、分子生物学教室、第1生理学教室)と共同で進めております。また全国的な前向き臨床試験にも積極的に参加し、将来の患者さんにより良い治療が提供出来るよう努めております。(大腸癌:PACIFIC study, SAPPHIRE study, C-cubed study, PARADIGM study, 肝細胞癌:SURF trial, 膵臓癌:JSAP study等)厚生労働省による 「人口動態統計月報年計の概況」では、平成26 年の死亡数を死因順位別にみると、第1位は悪性新生物で36万7943人、第2位は心疾患19万6760人、第3位は肺炎11万9566人となっています。悪性新生物は一貫して増加しており、昭和56年以降死因順位第1位を継続しています。平成26年の全死亡者に占める割合は28.9%、つまり全死亡者の約3.5人に1人は悪性新生物により死亡している事になります。当院は、地域がん診療連携拠点病院として、がんに係る集学的治療、教育・研修の実施、医療機関等との連携協力、緩和医療の提供、がん登録、がん相談支援を行っております。高度な医療を提供する地域の中核病院として、近隣の病院や診療所との連携を大切に、患者満足度の高い充実した医療を提供できるよう頑張って参りますので、今後ともご指導・ご鞭撻の程宜しくお願い申し上げます。 (文責:医局長 皆川 紀剛)地域に貢献できる医療を産業医科大学 第一外科 教授 平田 敬治大学医局の動向平成27年4月より福岡市医師会成人病センターに着任いたしました。上下部消化管内視鏡検査および内視鏡的粘膜切除術EMR、内視鏡的粘膜下層剥離術ESD、内視鏡的止血術などの内視鏡治療を中心とした診療に従事しております。最近の診療において特に感じることは85歳以上の超高齢患者さんの割合が増え、それに伴い内視鏡検査・治療を受ける超高齢者の割合が年々増加しているということです。90歳以上の患者さんの内視鏡検査・治療の適応については慎重になりますが、80代の患者さんに検査・治療を行うことに対して自分の中での抵抗が少なくなっているような気がします。4人に1人以上が高齢者である超高齢社会において当然といえば当然ですが、世界に類を見ない急速な少子高齢化の進行を背景にこの傾向は今後も続くと考えられます。超高齢期においては各種臓器の老化や認知症などによる病態の複雑化、加齢にともなう癌の増加などが予想されます。消化管領域においては大腸癌・食道癌が増加すると考えられており、癌の早期発見によるESD・EMRなどの低侵襲な内視鏡治療、原発巣および骨転移巣への放射線治療、消化管狭窄に対するステント留置などの症状緩和を目的とした治療がより重要となってくると思われます。後期高齢者の医療費が11年連続全国1位の福岡県では特に医療経済の問題も見据えつつ、健康寿命やQOLに焦点を当てた診療を提供していく必要があるという非常に困難な局面を迎えています。しかし、どのような治療が超高齢者に安全かつ有用で、どこまでの治療を行うべきという指標がない現状では、治療の適応について悩ましい症例も多々あります。高額診療行為の適応の見直しや地域医療連携強化による総入院期間の短縮などがとりあえずの目標となるかと思われますが、医療提供者が不当に訴えられないようにするためにも具体的な高齢者への診療ガイドライン作成を期待したいと思います。「超高齢社会と消化器診療」福岡市医師会成人病センター 消化器内科 村尾 寛之若手勤務医からのメッセージ

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