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⑵ 勤務医のつどいともに語ろう、ともに考えよう、ともに行動しよう一方、乳腺センターでは、検診から精査、手術、術後補助療法、再発治療等多岐にわたり、煩雑で多忙な診療を余儀なくされます。また、慢性的な医師不足により実地医療の崩壊が深刻化しています。特に地方病院における医師不足や外科系勤務医の労働環境不良の問題は、新医師臨床研修制度を契機にさらに悪化しています。そこで、乳腺科では専任の外来看護師と医師専属棟担当看護師ならびに医療秘書がチームを組み、臨床放射線技師や臨床検査技師も加わり煩雑で密度の濃い多忙な診療の補助をし、辛うじて潤滑な診療を行うことができています。将来は、医師の労働環境を改善し医療崩壊を防ぐためにもチーム医療を確実に実践できる制度の確立が必要であると考えています。「これからの地域医療と勤務医」〜動き出す総合診療専門医研修〜飯塚病院 総合診療科 井村 洋2017年から開始する新専門医制度の、全基本診療領域についての整備指針が日本専門医機構から公表された。今の後期研修に比較して、内科、外科はもちろん、全領域において劇的な変化をもたらすことが明らかである。その変化を、一言でいうと、現状の専門医制度の不透明さや曖昧さが、格段に明確、公正、厳密になることであろう。例えば、指導医資格、プログラム定員の条件、個々の専攻医に要求される経験到達度、提供する研修内容を一覧に呈示する透明性などである。そして、地域医療に最も関連が深いのは、総合診療の専門制度になる。その整備指針は、次のような特徴を示している。1.基本設計は、これまでの日本プライマリ・ケア連合学会「家庭医療専門医制度」を下敷きにして、改良発展させたものだと窺える。2.総合診療専門医の理念・使命に、次のキーフレーズを認める。「地域で活躍する」「誇りをもって診療等に従事できる専門医資格」「我が国の今後の医療提供体制の構築に資する」「日常遭遇する疾病と傷病等」「適切な初期対応と必要に応じた継続的な診療」「地域のニーズを踏まえた」「予防・介護、看取りなど保健・医療・介護・福祉活動」3.専門研修後の成果 (研修後の完成像)を、具体的なコンピテンシーで示している。人間中心の医療・ケア、包括的統合アプローチの2つに加えて、連携重視のマネジメント、地域志向アプローチ、診療の場の多様性などである。この制度設計を検討する過程において、日本の地域医療の専門医に必要な能力とは何かについて、我が国に求められる地域医療に資する医師の、理想と現実をしっかり見据えながら、相当な議論を重ねた経過が透けて見えてくる。4.基幹施設の認定基準は、他の基本領域と明らかに異なる。大学病院や大規模研修教育病院でなくとも、研修基幹施設の資格を有する点である。小児外来診療、訪問診療、臓器別ではない外来・病棟診療を実施している診療所・中小病院に、大きく門戸が開かれていることは特筆すべき点である。総合診療専門医が指導医になった後、開業もしくはプライマリ・ケアを提供する中小病院に勤務する際には、その施設もプログラム要求を満たすことのできる基幹施設になる可能性が高まったのである。大病院以外での研修場所でも、適切な教育指導が実施可能になる未来が見えてきた。つまり、診療所であっても、大学の指導施設になりえる機会が高まったということになる。5.必修ローテーションは、総合診療の外来と病棟が各々最低6ヶ月要求されている。病棟総合診療の必修化は、近年高まりつつある、病院総合医の診療を設置する必然性を高めていくに違いない。それ以外には、小児科病棟3ヶ月、救急3ヶ月、内科 (臓器別)6ヶ月が、要求されている。これを見た瞬間、私はこう思いました。「この専門医研修が卒業時にあれば、開業医の子として、将来は親の診療所を指導施設にすることを視野にいれ、何の迷いもなく選択したのに・・・。」内科専門医制度が、どちらかというと、大病院勤務医育成をゴールにしているように見えるため、将来プライマリ・ケアに従事することを希望して、目を輝かせる医学生・研修医にとって、ついに待望の本格的な専門医研修制度が設定されたことになります。これからは、日本全国で競い合って良質のプログラムを作成し、世界最高の総合診療専門医を育成することが、私達の使命だと思っています。「これからの地域医療と勤務医」 〜厳しい医療行政で感じること〜地方独立行政法人 大牟田市立病院 副院長・外科部長 末吉 晋当院は地域支援病院であり、地域の先生方には大変お世話になっています。表題での原稿依頼が来ましたが、これは今非常に問題になっている『地域医療構想の策定』を見据えてのことと思われます。国は医療費削減をめざし、あの手この手で締め付けを行っています。介護の充実と言いながら、介護の報酬は削減しているのは皆さんご存じのとおりです。一昨年の診療報酬改定では消費税増税分を補てんすると言いながら、かなりのマイナス改定を行っています。私が最も入院収益の減少につながった変更点として感じていることは、これまで3日間退院すればDPCがリセットできていたのが、1週間以上退院しないとDPCがリセットできなくなったことです。なにかの症状があり、内科に入院して検査をし、病気が見つかり手術が必要と診断された場合、これまでは『手術前にちょっと自宅で過ごしましょうと』と説明し、いったん退院してもらっていました。3日間なら自宅退院して手術に備えられても、一週間となると患者や家族はなかなか退院を納得しません。つまり外科に転科した時にはDPCの入院期間ⅡやⅢからの診療報酬となっているのです。緩和的治療での入院患者さんも調子が良ければ3日間ぐらい自宅で生活できてDPCをリセットできていた方も、一週間以上の退院は無理な場合があります。今度の地域医療構想も『地域ごとの医療需要に合わせ、急性期から回復期、慢性期まで患者の状態にふさわしい、より良質な医療サービスを受けられる体制づくり』とのきれいごとが並べてありますが、実質は病床の削減が目的であると思われます。我々は地域の開業医の先生方や他の医療機関からの紹介患者さんを診療し、急性期がすぎれば、紹介元に戻っていただく方針でやってきました。もちろん、悪性疾患で手術をした患者さんの後治療は当院外来で行うことが多いですが、StageⅠの胃がんや大腸がんはがん診療連携パスを使って紹介元と自院での並診を行っていますし、がん以外の併存疾患に関しては紹介元での治療継続をお願いしています。当院は急性期医療に特化する方針で、ケア病棟への変更は検討していません。今後も地域の先生方とともに地域医療を充実させる方針に変わりありません。これからも宜しくお願い申し上げます。

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