新規ブック
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vol.54 勤務医のつどい⑴勤務医のつどい勤務医のつどい勤務医のつどい発行日 平成27年10月10日福岡市博多区博多駅南2丁目9番30号公益社団法人 福岡県医師会 勤務医部会ともに語ろう、ともに考えよう、ともに行動しようこれからの地域医療と勤務医「これからの地域医療と勤務医」 〜地域をみるという気持ちを忘れずに!〜北九州市立医療センター 統括部長 山野 裕二郎卒後36年目の内科医です。総合外来を担当しています。さて地域医療の重要性がいわれていますが、開業しておられる先生方にとっては日々の診療自体が地域医療の実践そのものであり、何を今さらという感じかもしれません。しかし勤務医にとっては必ずしもそうではありません。今回いただいたテーマにありますように、これから最も地域医療を意識する必要のあるのは勤務医ということになります。ところで今年度から新たな専門医制度に則った初期研修がスタートしました。総合診療専門医が基本領域の19番目の専門医として位置づけられましたが、総合診療専門医は日常の診療のみでなく、疾病や傷害の予防、保健、福祉など幅広い問題への対応が求められており、地域を診る医師として扱う問題の広さと多様性が特徴とされています。まさに地域医療の担い手です。ただ全ての領域を広く深く診ることは実際的には困難であり、深く診ることは領域別専門医にお願いし、総合診療専門医は幅広く、そして多様な問題に対処できることを目指すことと理解しています。このように地域を診る医師として総合診療専門医が位置づけられていますが、専門医の多い急性期病院にあって、当院でいえば総合外来は前記総合診療専門医に一番近いところに位置する部門ではないかと考えています。去る7月東京で日本プライマリ・ケア連合学会(…これは日本プライマリ・ケア学会、日本家庭医療学会、日本総合診療医学会が合併し2010年にスタートしたもの)の認定医試験があり受験してきました。対象は内科領域に限った話ではないので、浅くとも広い知識をといわれても何をどう準備して臨めばいいのか雲をつかむような感じでしたが、今まで知らなかった領域のことに少しでも触れることができたことは有益なことでした。ただいずれにしてもこれはあくまでも日本プライマリ・ケア連合学会の認定医の話であり、日本専門医機構が認定するところの総合診療専門医に直接通じるものではありません。ありきたりな結論になってしまいますが、勤務医も地域の状況をよく知ることが必要であり、さらに高齢化が進む10年後、2025年の日本の医療がどのようになっているか予測がつきませんが、地域医療の担い手であるという気持ちを忘れずにいることが最低限必要ではないかと考えています。「これからの地域医療と勤務医」 〜糸島での乳腺チームの立ち上げ〜糸島医師会病院 副院長 渡邉 良二私の勤務する糸島医師会病院のある糸島市は、福岡市の西に位置し、都市近郊形の農業、漁業、畜産業がさかんである反面、ベットタウンでもあり、最近は食だけではなく、工芸、観光、レジャー等で注目を浴びるようになってきました。人口は約10万人で、高齢化率は25.9%(全国:26%)で、2025年には28.8%になると予測されています。糸島市としての高齢化率は、全国の平均と同じですが、ここ3か月に実際に病院に訪れる外来患者さんの平均年齢は、65才(入院患者75.2才)で、65才以上の高齢化率は外来で61.1% (入院79%)で高齢者が多く、2025年以降を一足先に経験しているようです。糸島医師会は、明治40年から創立108年で、糸島医師会病院は昭和44年、設立46年を迎え現在地に移転して32年が経ちます。糸島市休日・夜間急患センター、訪問看護ステーションならびに病後児保育を併設し、150床(急性期病床124床、地域包括ケア12床、緩和14床)で、地域医療支援病院・日本医療機能評価認定を取っています。私は、2014年4月に糸島医師会に先輩である冨田院長の招聘により赴任しました。今まで、乳癌の専門医として約18年間で数多くの検診、精密検査 (画像診断・インターベンション)・手術・術後の補助療法等を経験してきました。当院は地域医療支援病院でもあるので、地域のために貢献できるよう、乳癌死亡率の減少を目指し、他の2施設 (たなかクリニック、井上病院)とチームを組んで検診から、精密検査、治療までを連携して地域完結型医療を目指し、2014年4月の赴任と同時に新規に乳腺センターを開設しました。2014年までは、糸島市の乳癌検診は検診業者ならびに検診可能な各医療機関 (2施設)に読影や精度管理を一任されていましたが、2015年4月からは、「チーム乳腺糸島」の立ち上げをし、行政と各医療機関との入念な会議をし、検診体制を樹立しました。その結果、クーポン検診の継続個別検診の開始、就学時健診の際に保護者に対し乳がん検診の実施、個人情報管理の確認、精度管理への協力、市発行の広報誌にて検診の案内や検診未受診者への受診勧奨 (9月と2月にハガキ発送)等を行いました。また、月2回の間隔で各施設の技師も交え、ソフトコピー (5メガのモニターと専用ワークステーション)による読影会を開催し、読影の勉強だけではなく撮影条件を確認し、技術のレベルアップをはかりました。その結果、2013年度は約500名の受診者であったのが、2015年度の受診者は約700名に増加し、癌発見率は0.99%(早期がん率:71.4%)で、良好な成績を納めることができました。

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