勤務医のつどい 第51号
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⑵ 勤務医のつどいともに語ろう、ともに考えよう、ともに行動しよう医療側の責任のあり方、責任の場所、誰を診るかまで、機能分化という言葉で語られることが現在の日本に馴染むかという問いには否と答える。医療充実度の高い福岡ばかり見ていると、医療制度の変革が見えなくなる。充実していないところから変革が起こり、全体の骨格が決まっていく中に福岡県も落とし込まれる。 消費税が10%になると、はっきり家計簿に出るので、国民は消費税が上がることと、医療の満足度を天秤にかけて評価する。医療費の問題について言えば、お上から言われる前に我々が提案型としてやることがあったのではないか。一方で、医師と患者のモラルハザード、期待値の高まりなどが影響を与える大きな因子となっている。 プライマリ・ケアを語る時、普遍的なこととして、人口1000人の集団における1ヵ月の受療動向だが、高次医療センター、大学病院のようなところは1人。医療機関を受診するのは217人。代替医療、病院外来となるとどんどん減る。ほとんどの医療はcommon diseaseである。これからコストが全面に出る改革が行われるだろう。ロジックでは戦えない局面がくる。 イギリスのGP制度の話をすることは難しい。日本では、サッチャー政権の頃の固定したイメージ。しかし、日本が変容を怠っている間に、イギリスは問題を克服しつつある。待機時間は短くなっている。院内感染の件数も7700件から1200件まで減少。患者満足度は、医療サービス全体だと92%の患者が満足というデータが出ている(以下省略)。数か月待って手術が受けられずにフランスで手術するという話は、もはや過去である。日本の医療は世界できわめて評価が高い。国民皆保険、フリーアクセス、なし得た長寿。中の議論で抜け落ちているのは、医療財政、政府財政である。次世代になっても持続できるかと言えばかなり厳しい。イギリスに学ぶものは医療制度の形ではなく変容力であろう。 総合診療専門医に戻る。協議は最終の詰めに入っている。3月に中間報告が出されるだろう。この議論を進めるにあたり、現状のかかりつけ医には何の不利益もないことを前提とすることは合意している。先生方にとっては、関心がなければそのままでよい。私どもの学会での家庭医療専門医は、わずか400人しかいない。専門医をフル回転で作っても1万人作るのに何十年もかかる。急激な変化はないということである。あくまで将来の医師のための仕組みと捉えてほしい。移行措置は3つに分けられる。2020年度以降の専門医同士の移行、それ以前の、本当は総合診療専門医になりたかったが制度が間に合わない人が他の研修後移行する場合、そしてキャリアを長く積まれた先生方である。何のマイナス面も生じることはない。あえて何があるかと言えば、病院医師のリクルートの問題である。この研修制度を通じて病院の医師確保のあり方や研修の流れが変わるだろう。研修先の病院の担当者は注視し、情報を集めておかなければならない。 私共の教室久留米大学形成外科・顎顔面外科は、初代の田井良明教授が昭和59年2月に当大学に赴任されて以来開設30周年を迎えました。平成2年4月に講座に昇進し、平成17年2月からは私(清川)が第2代目の主任教授を務めております。開設当初は、形成外科が何をする科を知らない人が医師を含めてほとんどでした。そのような状況の中、頭頸部癌切除後の再建や先天異常(口唇口蓋裂や漏斗胸など)を中心とした手術を、関連各科とのチーム医療の基で数多くこなしてきました。そのチーム医療や色々な会合での講演そして学生への講義を通じて、「形成外科とは、病気やケガが治った後の生活の質(QOL)の向上をめざす科」ということが、今では医師やco-medicalスタッフだけでなく一般の方々にまで広まってきています。すなわち、「機能や整容をとり戻し社会復帰してこそ、病気やケガが治ったと言える」という私共のモットーをやっと理解していただけるようになってきました。 さらに近年特に増加しているのが、難治性皮膚潰瘍すなわち治りにくい傷の治療のニーズです。高齢化や豊食の時代に伴い、糖尿病を中心とした内分泌系の疾患が急増し、術後の創離解や感染および血行障害による足潰瘍の患者さんが増えています。私共形成外科が創傷治癒の専門家であり、これらの難治性創傷の治療を担う科であることもようやく認知していただくことができました。これにより、おかげさまで多くの病院から医師派遣のご依頼をいただくようになりました。大変うれしく光栄ですが、それらにお答えできるだけの専門医を育てきれていないのが現状で、その申し訳なさに悲鳴を上げております。もっと多くの若い医師を一人前の形成外科医に育て上げ、できるだけ多くのご依頼に応えて行くことが私共に課せられた使命と考えております。身近に形成外科に興味のある研修医や専修医の先生がおられる方は、是非ご紹介賜れば幸甚に存じます。「うれしい悲鳴」久留米大学医学部 形成外科・顎顔面外科学 清川 兼輔大学医局の動向

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