勤務医のつどい 第50号
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ともに語ろう、ともに考えよう、ともに行動しよう 救急医療の守備範囲は広く、その適応となる患者は24時間365日発生する。結果的に高い緊急度や重症の患者は1割にも満たないが、患者サイドから考えれば自分の緊急度や重症度は分からないため救急車を要請する。平成24年度では、その数580万件で搬送人員は525万人と過去最高を記録した。そのうち福岡県の救急車搬送人員は約21万人で、この救急患者を受け入れているのは、休日夜間急患センターとして22医療機関、144の救急告示病院、233の輪番制病院群、8つの救命救急センターである。救急車要請から病院搬入までの平均時間は全国で最も短く、救急車の受入状況は非常に良好で近年は常にトップクラスである。 このような救急医療を支えている大きな力は2次救急病院の先生方であるが、多くの病院では救急患者の対応に専従医を配置している訳ではなく、一般の診療科業務をこなしながら、救急患者にも対応しているのが実情であり、救急患者に対応する医師の負担は非常に大きいものと考えられる。つまり、救急医療においては未だマンパワー不足の状況が続いているのである。 また、社会の高齢化に伴い高齢の救急患者も増加しているが、自宅復帰に長期間を要することが多く、ベッドを占有することで新たな救急患者受入に支障をきたすことが危惧されている。このような様々な問題をかかえる救急医療状況において、限りある医療資源を有効に使うためにそれぞれのレベルで課題の克服をめざした努力がなされている。国としても救急医療は重要な事業として取り上げており、地域格差の是正や特定病院への救急患者の集中による弊害の防止などに取り組み、救急医学及び関連学会でも「救急医療における終末期医療に関する提言(ガイドライン)」の公表、外傷初期診療ガイドラインを基にしたJATECの開催や日本版敗血症診療ガイドラインの公開などで救急医療の質の底上げを図り、福岡県内にいても地域により地域医療サポーター制度を導入したり、予防救急の提唱や医療連携の強化など地域の事情に応じた試みがなされている。 近年の全国的救急医療の動向をみれば、2013年1月現在、救急科専門医数3,613名、救急科専門医指定施設は479施設、救命救急センターは265施設まで増え、ドクターヘリは37道府県41施設で運航されるほど普及し、昨年度は約1万8千件の出動を記録した。しかし、救急医療の根本的問題は解決されているとは言い難く、今後も質・量ともに充実することを目指す必要がある。 今回「救急医療の現状」がテーマとなり、私が精神科領域の文章を依頼されました。今後の課題も含め、ご説明しようと思います。 まず、精神科救急とはどういったものを指すのでしょうか。具体的に言うと、夜間休日に精神症状が突如として悪化した患者への対応です。特に入院が必要になった事例への対応を指すことが多く、即ち、1次救急は対象とされない事が多いと言えます。 では、精神科の入院について一般科の入院とはどこが違うのでしょうか。それは、法的手続きの後に入院となるという事です。専門外の方には意外でしょう。精神科は形の無い物を扱うので、医師の一存で入院が決定されると思われがちですが、それは違います。その法律は「精神保健福祉法」と言います。 もう少し詳しく説明しましょう。精神科医だけが精神病棟への入院を決定できる訳ですが「精神保健指定医」資格者の決定が必要となる場合が多く、それは、入院形態によって手続きが異なります。 主な入院形態は下記の3つがあり、少々不正確かも知れませんが、分かりやすいよう大雑把に説明します。任意入院 本人の「任意」意思による入院 精神保健指定医でなくても精神科所属医師の診察で可能医療保護入院 「医療」者と「保護」者が協議して入院を決定 精神保健指定医1名の診察が必要措置入院 自傷他害のおそれで、県知事の「措置」で入院となる 通常、警察より県に24条通報し、指定医2名が診察 さて、精神科はどういった救急圏に分かれているのでしょうか。福岡県では4ブロック存在し、福岡・北九州・筑豊・筑後となっており「精神科救急のシステム」という受け付けセンターが、入院依頼を各ブロックへ仲介しています。 問題点として、各ブロックで、1~2名の余裕しか無い事がありますが、最近は「スーパー救急」対応の病院もでき、空き番の時間や2例目以降に対応可能になっています。 今後の一般的課題として、精神科の入院が一般科と制度的に異なるが殆ど知られていない事や、病院からの「お迎え」が無理なのも理解されていない事が挙げられます。翌日まで待てない入院が必要な水準なら、通常は前述の「医療保護入院」となります。その場合、保護者確保が必要となりますが、確保できなければ入院自体が困難となります。 以上、精神科救急の現状と課題についてご説明しました。不明に思われる事が多い領域とは存じますが、専門外の方々のご理解につながれば幸いに思います。救急医療の現状~精神科領域について飯塚病院 精神科 部長 本田 雅博救急医療の現状:克服すべき課題と試み久留米大学病院高度救命救急センター 教授(災害・危機管理担当) 山下 典雄⑵勤務医のつどい

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