勤務医のつどい 第49号
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診療所から病院の先生へともに語ろう、ともに考えよう、ともに行動しよう 大牟田市内で開業して5年目に入り、近隣の基幹病院の先生方とも顔なじみとなり、病診連携もスムーズになってきた。病院から送られてくる画像データなどが添付された診療情報提供書も、電子化され大変わかりやすくなってきている。昨年から、近隣の基幹病院でおこなった血液検査データ、レントゲン画像などが診察所からインターネットで閲覧できるようになった。もちろん患者の同意が必要だが、紹介した患者の臨床経過がいつでも確認でき画期的だ。主治医に電話で確認する手間も省けるし、家族からの病状の問い合わせなどにも役に立つ。当地区では初めての試みだが、他県では、カルテ内容も含めたすべての医療情報が閲覧できるところもあると聞いている。今後もこのような情報共有の進歩が期待される。しかしながら、人と人との繋がり、患者中心の医療が重要であることはいうまでもない。 最近のことだが、胃がんと診断され、手術を怖がっていた患者が、治療を終えて挨拶にこられた。「腹腔鏡を用いた外科手術で意外と楽でした。主治医や病院スタッフがとても親切に対応していただき、手術を受けてよかった。今後も診察お願いします。」と笑顔で感謝された。紹介した病院に対する患者さんの評判は気になることであり、病診連携の成功は開業医冥利に尽きる。これまでのがん診療は、勤務医の交代などで連携がとぎれていたケースもあったが、福岡県でもがんパスなどの整備がすすみ、連携の不備も徐々に解消されつつある。さらにがんパスを利用した病診連携がすすむことが期待される。 私も、5年前までは病院の勤務医として働いていた。徹夜に近い当直は辛かったし、外来患者の急病などで多くの時間が費やされ多忙の原因となっていた。つい先日、基幹病院を受診中の肝移植待ちの患者が来院した。顕性黄疸はないが、高熱を認め、全身状態が良くない。急変時の対処方法が記載された診療情報提供書を持参されていたため、指示に従い治療を行い、数日後には軽快した。病院の医師は、薬の内容、病名、急病の際の対処方法など簡単でよいので、患者に伝えていただければ病診連携に有用と思われますので、ぜひ実践していただきたい。 余談になるが、勤務医の時代の楽しみの一つが学会出張だった。海外など遠方の学会出張の時には家族連れで参加し、日頃の緊張感から開放された時間が過ごせ、楽しい思い出となっている。みなさんの充実した勤務医生活を祈念したい。医療連携のこれからこはまクリニック 富安 信夫若手勤務医からのメッセージ大学医局の動向 勤務医部会の先生には、平素より大変お世話になり、厚く御礼申し上げます。産業医科大学医学部第1内科学講座は、昭和53年に開講しました。初代鈴木秀郎教授、次代江藤澄哉教授に続き、平成12年から第3代目を継承し13年になります。教育責任科目として免疫・感染、内分泌・代謝、血液を届け、大学病院では膠原病リウマチ内科、内分泌代謝糖尿病内科、若松病院ではリウマチ・糖尿病内科を担当しています。 これらの全身性内科疾患を通じ、内科全般を診療できるプライマリーケア総合内科医から各分野の専門医までの養成に努めてきました。患者様の立場からの診療の実践を心掛け、専門性の高い難治性内科疾患に対して高度医療を率先して実践してきました。現在、関節リウマチなどの膠原病に対する生物学的製剤使用実績、治験全国第1位、糖尿病合併症予防研究J-Doit3登録全国1位など有数の施設に成長しました。 研究分野では、自己免疫疾患や代謝疾患の病態形成におけるシグナル異常とその制御に関して国内外の多くの施設と研究協力をし、世界的に高い評価を得ています。昨年、福岡で第33回日本炎症・再生医学会総会を開催しました。2つの国際シンポジウムiPS細胞と幹細胞制御技術、炎症性疾患とキナーゼ阻害薬は高い注目を集めました。再生医学と炎症学が医学を牽引していると実感しましたが、学会理事の一人である山中伸弥先生がノーベル賞を受賞されたのも、至極当然に思えました。 何よりも、医師としての人間形成に力点を置く教育を目指しています。何事にも『心』を込めて臨み、「楽しく、美しく、格好良い」医局であり続けるよう努めています。このような気持ちをお持ちの方には、臨床と研究の双方に、門戸を大きく開いています。出身大学を問わず若い人材を募集していますので(詳細はホームページをご覧下さい)、ご協力をお願いします。また、地域医療連携を介して特定機能病院としての役割を担うべく努めていきますので、今後とも一層のご支援とともに御指導御鞭撻を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。末筆ではありますが、会員の皆様方のご健勝を祈念致します。呼吸器診療と地域連携何事にも「心」を込めて 平成23年4月より福岡赤十字病院で呼吸器科医として診療に従事しております。今年の4月で卒後12年目になりますが、入局した頃と比べ呼吸器診療も大きく変化しました。治療に関して言えば肺癌に対する新たな分子標的薬の出現や喘息・COPDに対する吸入治療薬の変遷、特発性肺線維症に対する新規治療薬等々ありますが、臨床の現場において最近感じることは入院患者の高齢化です。特に誤嚥性肺炎を初めとした呼吸器感染症の治療に関しては色々な課題を抱えています。高齢者の場合加齢に伴う嚥下機能やADLの低下を伴っていることが多いため単に感染症として治療を行うだけではなく、様々なサポートを行うことが必要となり結果として感染症は治癒したものの入院が長期化してしまうということがみられます。そのため看護師、ST・PT・OTなどのコメディカルなどと連携して診療にあたることが必要となる一方、当院のような急性期病院だけでの診療で完結することは昨今の医療情勢では困難となってきております。入院患者の円滑な社会復帰のためには周辺の病院施設や開業医の先生方、ソーシャルワーカー、訪問看護の方のご協力がさらに必要となると考えます。今後ますます高齢化が進み、また呼吸器感染症に限らず肺癌、COPDなど呼吸器疾患が増加することが予想される中、当院だけではなく地域との連携を行いながら診療する体制を確立していくことが今後の呼吸器診療の課題の一つかと個人的には考えております。 最後に当院についてですが、昨年新病院が完成しました。集中治療センターも拡充し呼吸器疾患についても重症例など多様な症例にこれまでより対応できるようになりました。現在当院の呼吸器内科医師は3名と少数ですが他科の先生、および周辺施設の先生方と連携しながらこの地域の呼吸器診療により一層貢献できますよう頑張っていきたいと思いますので何卒よろしくお願いいたします。田中 良哉産業医科大学医学部 第1内科学河口 知允福岡赤十字病院 呼吸器内科⑷勤務医のつどい

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