勤務医のつどい vol.47
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ともに語ろう、ともに考えよう、ともに行動しよう福岡県医師会から●─────────●災害時「福岡医療情報ネット」の有効利用にむけて 災害医療の講演会を通じて、連携と情報(収集、伝達手段など)の重要性を痛感させられました。行政、消防との連携が必須ですが、現在、市町村や県の災害対策本部のメンバーに医師会が含まれていないのは問題と指摘され、この点改善を求めると松田福岡県医師会長も言明されました。また、災害現地での救護チームの連携における、コーディネーターとしての医師会の重要性も再認識させられました。 一方、医療を提供する側からの情報発信としては「福岡医療情報ネット」の有効活用が望まれます。そのためには、最新で確実な情報が必要です。信頼度の高い情報源として認知されるためにも、災害拠点病院をはじめ各病院、1日2回の入力更新を遂行していただきますようお願いいたします。(担当理事:佐藤 薫) 平成17年3月に発生した「福岡県西方沖地震」は、福岡市民にとって正に青天の霹靂の出来事であり、福岡市消防局にとっても、初めて経験する大地震であった。当然、その時に備えての計画や対策はあったものの、対応は必ずしも納得のいくものではなかった。 ここでは、当時の消防・救急活動の実態と、そこから浮かび上がった課題から、今後の「もしも…」の際における医療と消防の連携の重要性を再確認していただければ幸いである。1 初動時の状況 地震発生直後から119番通報が殺到し、全救急隊が約2時間に渡って出動し続けた。 この時、各救急隊が使用する携帯電話は、災害時優先電話でありながら、地震に伴う障害により通信不能状態となり、搬送依頼の電話ができずに飛び込み搬送をせざるを得なかった。 また、天神地区の百貨店において約40名の負傷者が発生したが、わずかな救急隊しか投入できなかった。 近年、我が国は東日本大震災と阪神淡路大震災の2つの大地震を経験し、自然災害に対する対策は国家規模で整備されつつあります。その一方で、人的災害に関しての対策は十分整備されているでしょうか。万一、福岡県内で人的大規模災害が起こった際に大きな混乱は生じないでしょうか。 今回は2005年に発生した『JR福知山線脱線事故』(以下、『福知山線事故』)を振り返り、その教訓から人的災害に対する対応を再度検証してみます。 まず、人的災害が自然災害と大きく異なる点はその発災現場が局地的であるという事が挙げられます。このため、何より迅速かつ正確な現場状況の把握と、これに対する医療側の的確な対応が犠牲者をひとりでも減らすために不可欠です。ところが、『福知山線事故』の場合、状況判断の遅れから医師が現場に到着するまでに40分を要し、また病院側の患者受け入れ情報入力も事故発生後から1時間で僅かに30%という状況でした。2 課題と解決策 ⑴活動計画と訓練の脆弱性 地域防災計画や消防局独自の地震対策はあったものの、実態にそぐわない面が多かったことから、現実に即した計画へ見直すとともに、抜き打ちの訓練など実効性のある訓練等を実施することとした。 ⑵通信連絡体制の脆弱性 日常的に県医療情報ネットワークを閲覧して空床情報等を把握するとともに、通信インフラのダウンに備え、災害拠点病院に防災行政無線を配置した。 ⑶関係機関相互との協働の脆弱性 大規模災害発生時における対応について、災害拠点病院や行政関係機関との調整が不十分であったが、現在では、DMAT体制が確立され、合同訓練等が実施されている。3 医療と消防の連携 大規模災害が発生した場合における医療と消防の連携の重要性は、先に発生した東日本大震災においても明らかであるとともに、新たな課題も浮かび上がっている。 私たちは、これまでの出来事を忘れることなく、「災害は必ずやってくる…」へ、発想を転換すべきであろう。 対策本部の設営も人的災害であるが故に法律上の問題から手間取り、指揮命令系統の整備や情報収集にも時間を要しました。このため、救護テントも事故車掌を挟んだ線路の両側に設営されてしまい、当初両サイドの連絡がうまく行かず、傷病者の情報共有が出来ませんでした。現場に駆け付けた医療チームもうまく連携が取れず、効率の良いTriageに支障をきたしました。このため、傷病者が近隣の2次医療圏の病院に多く搬送され、対応に苦慮したようです。連携に関しては医師、行政、消防、警察などの各組織の横断的な連携も上手くとれませんでした。 一方で、『瓦礫の下の医療』の実践により、長時間車内に閉じ込められた傷病者の救命が達成できました。 以上、今回は人的震災発生時に医療従事者がどう行動すべきかを福岡県DMATや福岡県医師会JMATなどの被災者救援体制がとるべき姿を交えて提言させて頂きます。福岡県西方沖地震における救急活動と課題福岡市消防局 警防部 救急課課長 星川 英一人的大規模災害時の対応─JR福知山線脱線事故からの教訓─福岡大学医学部 救命救急医学講座 教授 石倉 宏恭勤務医のつどい⑶

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