勤務医のつどい vol.47
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ともに語ろう、ともに考えよう、ともに行動しよう シンポジウム ──「災害医療を考える~もしも福岡で起こったら~」 災害では圧倒的に需要が供給を上回るため、使用できるものは最大限活用して対応する必要に迫られる。現在、ドクターヘリの運航されている地域は急速に増加しており、九州ブロックでも佐賀県を除き全ての県に導入される状況となった。ドクターヘリの目的は救急医療の病院前での展開であるが、災害においても活用できることは、東日本大震災においても証明された。そこで、もし福岡で甚大な災害が発生した場合、どうすればドクターヘリを最大限活用できるか考察した。 まず、規模はどうであれ発災後、医療チームとしては最も迅速に現場へ到着できるドクターヘリが、DMATを現場あるいはDMAT活動拠点本部や県庁内調整本部に投入できれば災害医療システムの立上に大きく寄与しうる。また、DMATとしての医師の目から見た被災状況を災害医療の展開に必要な情報(Intelligence)として発信することが可能である。情報の混乱が必発の発災直後に、信頼できる情報は組織的な活動に非常に有益と考えられる。緊急度・重症度の高い傷病者の治療・搬送(本来任務)の重要性は言うまでもない。また、福岡市を中心に半径300km圏内(飛行時間で1.5時間)には、近い将来約10機のドクターヘリが存在し、これらのドクターヘリが応援に飛来することが予想される。被災地となった福岡上空には報道ヘリや警察・消防・自衛隊・海上保安庁などのヘリが常時飛び回っている状態となる。この様な状態の中で、ドクターヘリを十分に活用するには、指揮命令系統の明確化、方針に沿って個々が臨機応変な活動を可能とする情報の共有化、および各機関との連携(横の繋がり)が重要となる。ヘリポート使用や燃料補給の優先順位についても調整しておかねばならない。また、上記ドクターヘリの活動を可能とするための法整備など課題は多々あるが、近い将来起こるであろう大災害に対して少しでも有益な準備をしておきたいところである。ドクターヘリを最大限活用するために久留米大学医学部 救急医学講座 准教授 山下 典雄 災害時の救助活動は、概略、その発災規模と災害の内容により対処されるべきである。 また、災害の時間経過と共に救助活動の内容は変化していくことになる。周知のとおり超急性期から急性期はDMATの活動がなされ、その後は今回の東日本大震災で経験したとおり、JMATが引き続き慢性期の活動を担当し、現地の医療機関の復興とともに撤収するという形が理想ではないだろうか。 局地的な早期医療支援の原則は、当然のことながら現地の医療機関とともに積極的に活動をし被災地の人々、現地の資源に迷惑をかけないという「自己完結型」であらねばならない。しかし、災害の規模が大きいほど、平時の通常医療の「地域完結型医療」は破綻することになる。今回の震災では、診療が一時途絶する事態が各所で発生している。従って、災害時には他県から救助に来る人たちの受け入れについても対策を講じなければならない。 日本医師会では3月11日の津波の第1波が来た後、すぐ災害本部を設置し対策を立てた。その対策の1つとしてJMATという医師1名、看護師2名、事務職員1名を原則としたチームの立ち上げが全国の医師会に呼び掛けられた。私たち福岡県からもJMATチームが活動することになり、多数の勤務医会の先生方が参加された。災害時の活動手順については、先年発行した『福岡県医師会災害医療プログラム』に則して行うことが福岡県医師会の統一基準である。3月20日から5月31日まで32チーム179名が福岡県JMATとして活動したが、この経験を通じて、災害慢性期の医療活動には共通したフォームや薬品の確保、派遣先での指揮系統、統率するリーダー、現地の行政等との調整役の必要性があること等々を教訓として学ぶことができた。 他方、福岡県DMATは救急医療に関し一定の教育を受けた医師1名、看護師2~3名、調整役1名の4名での構成員で県下の災害拠点病院を中心として編成されたチームである。上述の通り災害急性期はいわば救急専門のDMATが担当し、災害の状況、被災者・避難者の数等を分析し、消防との調整を取りながらJMATが活動を引き継ぐことになる。 DMAT活動、JMAT活動を通じ最も重要な事項の1つは、災害局地や避難所、あるいは医療施設において、適切なトリアージがなされ傷病者が遅滞なく適切な医療がなされることである。その為には、災害発災時に設置される対策本部に救助活動の専門家が速やかに医療コーディネーターとして参加し、関係機関と連絡・調整しつつ救助活動の指揮をとる必要性がある。今後、行政当局にこのような体制の構築を働きかけたい。 福岡県医師会ではDMAT関係者や会員諸兄とともに、今後とも救急医療の勉強会を重ねていくこととしている。JMAT活動・DMAT活動福岡県医師会常任理事 大木 實⑵勤務医のつどい

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