勤務医のつどい vol.45
3/4

ともに語ろう、ともに考えよう、ともに行動しよう勤務医のつどい⑶ 医療崩壊が叫ばれる現在、救急現場での勤務医の過重労働や立ち去りが社会問題になっている。勤務医が救急現場で働き続けるためには、現場の医師のモチベーション向上が重要であり、このための環境整備や周囲からの支援が必要となってくる。この目的のため当院で行っている活動の幾つかを紹介する。 第1番目は、職場で精神的なストレスを少なくするための医療スタッフ間の良好なコミュニケーション作りである。救急現場では過度の緊張状態で、誰もが一時的に人格変化をおこし、通常の生活ではないような言動でスタッフ間の人間関係が悪化することがしばしば経験される。しかし普段より良好なコミュニケーションがとれていれば、緊張した救急現場でもストレスが少なくなり、もし不用意な言動があっても修復は容易であると考えられる。この目的のため、当院ではシェルブルホスピタルと称した活動を行っている。これは異なった4職種(医師、看護師、技術職、事務職)から選ばれたメンバーで構成されたチームが9ヶ月かけて院内のコミュニケーション向上のための活動を立案・実行するものである。1年に6チームが活動し、現在は開始から3年目を迎えコミュニケーション向上のための多くの成果物を得ている。 2番目には救急医療の負担を少しでも軽減するため、地域の開業医の先生方に救急医療の一部を負担してもらう仕組み作りである。当院では「地域医療ささえあい小児診療」として、地域医師会の協力のもと小児科開業医による救急外来準夜帯の診療と研修医教育に参加してもらっている。このことで地域の小児科医師と勤務医との顔の見える連携もでき、また研修医にとっては研修病院では経験のできない開業医の診察技術に触れることができると評価は高い。 3番目は地域住民の救急医療に対する理解と支援を求める活動である。救急医療の問題となっている、コンビニ受診やモンスターペーシャントは、救急現場スタッフの肉体的・精神的ストレスを増強させる大きな要因である。これを少しでも軽減するために当院では「地域医療サポーター養成講座」を開催している。これは地域住民の救急医療への理解と支援を求めるため、2ヶ月に1回健康増進および地域医療についての講座を開催するもので、徐々に参加者は増加し過去の5回開催では合計541名の参加者があった。このうち3回以上参加して地域医療サポーターとして認証された人は113名となっている。救急現場の勤務医を救え!~勤務医のライフワークバランス向上を目指して~勤務医部会委員会委員長/飯塚病院副院長 山本 英彦 女性医師は妊娠、出産、育児といった女性ならではの役割を担う一方、仕事の上ではそのことにより男性医師と比べて物理的制約を受けることが多く、さまざまな悩みも生じる。ここでは、管理職としてのべ10人以上の女性医師を部下として擁した経験を通じて感じたことをのべる。 妊娠、出産、授乳などは当然の権利として尊重、擁護されるべきで、後ろめたく感じる必要はなく、法律や組織の規定にのっとって対応すればよい。この時期は業務としてはいわば“あてにならない”のが現実で、迷惑をかけまいと頑張る必要はない。お互いに割り切るということが大切と考えている。 個人によって状況が異なっており、また、配偶者が育児に専念するという場合もあるので一概には言えないが、育児期も子供の発熱などで急な欠勤を余儀なくされる場合もある。無理をして全日勤務とせず、「午前9時から午後3時まで」、とあらかじめ決めておけば、管理職としてそれに沿って対応できるよう体制をとる。診療科によって異なるだろうが、この時間帯の勤務を前提としていれば全面的に依拠することはなく、急な欠勤にも対応できる。都市部の一定規模以上の病院では医師数で療養担当規則に抵触するということはまずないので、待遇を常勤とするか、非常勤扱いとするかは内規で対応すればよい。「午前9時〜午後3時までの勤務の提供」というのはひとつのキーワードになると考えている。 非常に悩んだのは、管理職としての配慮が、職業人としての意識を傷つけてしまう、あるいは当初には思ってもいなかった葛藤を与えてしまう、ということであった。配慮したつもりが、「私は一人の医師として男性に互して職務を果たしたい思いもあるのです」と心情を吐露されたことがある。このことについては未だ解を有していない。 全く同様に勤務するという意思があり物理的制約がないのであればそれでよいが、女性と男性が物理的に同じということはあり得ないので、「補いあう」のでよいというのが私の基本的な考え方である。補いあいかたとしては、非常勤として勤務する、短時間正式職員とする、あるいは、男性医師の能力を凌駕する何かの特技を有してそれを職場に活かす、といった方法があるであろう。それができる職場作りが管理職の役割である。勤務時間が短いとしても社会に対して果たす役割は全く同等と考えている。午前9時~午後3時までの勤務の提供済生会八幡総合病院 救急医療センター長 井上 徹英

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です